ささやかな日常の記録

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ドラマ「小さな駅で降りる」

また、朝から雨。気温も上がらず、もう肌寒い一日だった。

午前中に山田太一劇場「小さな駅で降りる」を見た。テレビ東京で2000年に放映された松原信吾監督による3本目。前2作の出来が良かったからだろう。本作はかなり予算が増えたのではないか。音楽は久石譲。出演は中村雅俊堤真一樋口可南子牧瀬里穂

食品商社を舞台にした企業ドラマとして、実にリアルで面白い。当時は2年間休むということが羨ましくも絵空事に思えたものだ。でも、それからの15年は、このドラマで描かれたことに、かなり似ている。無能な役員に振り回され、リストラがあり、心身ともに消耗していく毎日。そんな中で、それを見守る妻という存在がクローズアップされる。樋口のフルート、牧瀬のイラストが象徴するように女たちはアーチストで夢想家だ。それに対して男たちはリアリストであり、ニヒリストだ。そんな常識的な価値観を揺さぶるのが妻たちということ。

今回の山崎努はスーパーの店長。いかにもいそうな古い体質の経営者だ。なんでも新しくして合理的だったらいいのかと揺さぶりをかける。そんな彼の妻が認知症になり、これまでの生き方を反省することでドラマが動く。

急行ではない、各駅停車の旅の魅力に気が付くことになる。若社長が岩松了、常務が佐藤慶、リストラされた社員が柄本明。いかにもぴったり。中村の娘役で前田亜季。この時、15歳。

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午後から映画「SCOOP」を見た。福山雅治主演はどうでもよく、大根仁監督作品として見たが、いまひとつだった。それよりも昨夜見た「フィギアなあなた」が予想外の面白さだった。エロもバイオレンスもあるが、それ以上にファンタジーとして、きちんと成立していた。同じ汚れ役でも柄本佑の演技は真に迫っている。先日見た映画版「鈴木先生」も、きれいごとではないリアルを描いていた。どちらも夢想することを、きちんと見せてくれるのが良い。普通の人が壊れてしまうことのドラマだけに、身につまされるのだ。