ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

映画「湯を沸かすほどの熱い愛」

このところの朝の冷え込みで、早くも鼻がぐずぐずしている。なんとなく息苦しく、喘息の発作が出ないかと心配になるくらいだ。今朝も頭が重く感じて、予防のため薬を飲んだ。今日も午後から激しい雨が降ったが、ようやく明日から晴れが続きそうだ。

午後から映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を見た。去年、話題になったようだが、まったく知らなかった。ブログを見ていたら、複数の人が記事にしていたので気になって見てみた。見て、なるほどと思った。これは、見たら語りたくなる映画だ。母親の病気による家族の葛藤を描くストーリーは、それだけで泣けるし王道でもある。それだけでも十分なのに、こちらの予想を裏切る展開を見せる。巧妙に伏線が張られ、こちらの感情を揺さぶる。日本アカデミー賞宮沢りえが主演女優賞、杉咲花助演女優賞というのも納得。宮沢主演で評判の「紙の月」は原田知世主演のNHKドラマが良かったので見ていない。「魔女の宅急便」「トイレのピエタ」「TOO YOUNG TO DIE」等を見たが、ちょい役だった。昨年末のBSPのドラマ「漱石悶々」は良かったが、ここまで凄いのは初めてだ。杉咲も2014年のテレビ東京のドラマ「なぞの転校生」以来、ちょこちょこと見ている。朝ドラの「とと姉ちゃん」があったし、映画でも「スキャナー」を見たばかりだ。そんな中でも、本作での存在感は圧倒的で、生みの親との再会シーンは泣けた。その母親役の篠原ゆき子もよく見る顔だが、作品が思い出せない。宮沢の母親役で、りりィがちょっと出る。昨年11月に亡くなっているが、いまだによく見る顔だ。先日見た「リップヴァンウィンクルの花嫁」でも娘に冷たい母親役だった。2010年のドラマ「チェイス」での母親役も忘れられない。そして最大のサプライズがラストに訪れる。銭湯を舞台として、このタイトルにしたことの意味がようやく判明する。よく考えると破綻しているが、これは反則ぎりぎりでアリなのかもしれない。

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昨日は映画「何者」を見た。表面的には現代の就活を描いているが、実際は若者の心の闇を描いて、けっこう深い。さすがに直木賞を受賞しているだけのことはある原作だ。それに監督は「愛の渦」の三浦大輔だけに、舞台的な演出が効果的だった。ただ、出演者がもう食傷気味な方々ばかりで、まるで新鮮さがない。それでも、内面を想像するにはそれで良いのかもしれない。バブル時代の「就職戦線異状なし」と比較するのも面白い。あの映画には悩みはあっても、裏表はなかった。友だち関係はずっと単純だ。しかし、現代はSNSなどで常につながっていても、そう単純ではない。本音は裏に隠されてしまう。

そんな心の闇を描き続けているのがデビッド・リンチ。彼の「ロスト・ハイウェイ」を久々に見直した。映画館でも観て、テレビでも見ているはずなのに、内容はすっかり忘れてしまっていた。だいたいストーリーはめちゃくちゃだ。途中で主人公が別人に入れ替わり、最後には冒頭に戻ってしまう。まじめに見たら頭が混乱してしまう。それでも、そのイメージは面白く、やっぱり最後まで見てしまうのだから凄いものである。