ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「anone」第6話など

このドラマの一般的な関心はもう視聴率くらいしかないらしい。第6話の視聴率も順当に下がって5.5%。これで底を打って欲しいが、どこまで落ちるか先が見えない。

物語もまだまだ先が見えない。前回の穏やかな雰囲気は早くも消えて、不穏な空気にまたも包まれてしまった。瑛太の背景が描かれて、アノネとの過去が明らかになっていく。無邪気な罪によって犯罪に加担してしまったこと。そしてまた純粋な気持ちから犯罪に加担しようとしていること。男の闇は深そうで、そのダークサイドにあらがえるかどうか。ようやく偽札づくりのストーリーが動き始めた。

このドラマは広瀬すずの存在がなくても成立する。むしろ居ない方がストーリーとしてはすっきりするような気さえする。田中裕子主演というのが地味過ぎるから、追加されたのかどうかは分からない。そのためストーリーが拡散してしまっているのは確かだろう。

それでも広瀬演じるハリカという少女の存在が救いになっているのも事実。人と上手く関われないけど、人と違う感性を持っている。スマホを介在としたコミュニケーションは何よりも純粋だ。東京の一等地のマンションと少女の前髪。暗闇の海辺でスマホの画面を見つめるハリカの思いが切ない。

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それにしてもドラマの感想は「暗い」の一言であふれている。確かに映像は映画的で夜の場面も多くて確かに暗い。だが、その暗闇が美しい。暗闇の中で明るく光る明かりが、まるで夜空の星のようだ。

でも、ストーリーは決して暗いとは思わない。過去の傷とどう向き合って、どう克服していくかが描かれて、むしろ明るいくらいだ。絶望的な状況になっても、人は生きていかなければならない。自虐ともいえる生き様がとても魅力的に描かれているのに、何故なんだろう。

自分の方が世間一般とずれているのかもしれない。「カルテット」も第5話まで見た。とにかく面白い。その中で「志しのある三流は四流だ」というセリフがあり、身に染みた。まるで自分のようだと思った。たいして才能もないのに夢を諦めきれずに足掻く姿は滑稽である。

 バカのくせして、やたらと筋に拘り、周りと協調できない。そんな鳶職の頭を高倉健が演じた「あにき」も全13話を見ることができた。不器用な男の生き様はドラマとしては最高に面白い。それでも今だったら「暗い」の一言でかたずけられてしまうかもしれない。