ささやかな日常の記録

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ドラマ「アンナチュラル」第6話

共感することは恋の第一歩。 中堂(井浦新)に協力するミコト(石原さとみ)に東海林(市川実日子)が言う。その言にならえば、自分はこのドラマに恋していることになる。とにかく石原さとみが魅力的であり、その同僚役の市川実日子が素敵だ。

この二人の掛け合いが楽しい。友達じゃないと言いながらも、お互いを信頼している関係。その場の微妙な空気感の変化が、2人の表情から読み取れる。

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そんな東海林が事件に巻き込まれてしまう。その背景があまりにもリアルで感心してしまう。大学サークルでの強姦、薬物による犯行、仮想通貨の暴落、スマート・ウォッチ。優れたドラマは現実を招き入れてしまう。

この回では加害者にも被害者にも共感はできない。それでも救わなければならない命がある。そのために奮闘する二人の姿が可笑しくも凛々しい。飛行場のシーンを派手にすれば女どうしのバディ・アクション映画だ。

そんな二人以外にも色々なツーショットが描かれる。まずは所長(松重豊)と中堂。二人とも渋くて存在感ありすぎ。大人の男としての魅力。そしてミコトと六郎(窪田正孝)との関係。「ミコトさん、て名前で呼ぶのも良いのかな」って、切ない。年上の女性への憧憬。

そんな六郎が得体の知れない男(北村有起哉)と関わってしまう。「もう友達だから」と馴れ馴れしく迫る男。これまた今後の展開が気になる。それに対してミコトと東海林は「友達じゃない」と笑いあう。アルコールを前にした3つのシーンが、その関係性を具現化している。

それにしても毎回、死因の究明が見事である。突然死だと思われたものを、チアノーゼから窒息死と疑う。バイタル・データと小さな斑点から電流による感電死を導く。こうした論理的な展開は理系ならではのものだ。そこに情緒的な物語が加わるから見ていて面白い。

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50代以上の男性に受けているのも納得できる。松重豊の所長にも共感してしまう。若い部下に右往左往しつつ、役所との調整に追われる。そんな姿に我が身を重ねてしまう。

初回冒頭、ロッカールームでの何気ない会話が想起される。異性間交流会の見事な伏線回収だ。ドラマの本筋とは違うけれど、こういうサイド・ストーリーは楽しい。アラサー女性の日常がきちんと描かれているからこそ成立する。高級ジムの会員である男の実態を知り、「最悪 of 最悪」と嘆く市川が印象的だ。あの「シン・ゴジラ」とともにリケジョを演じた彼女。かつて恋した派遣で働いていた年上の女性の面影が、彼女に重なってしまった。

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