ささやかな日常の記録

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アンナチュラル・ウーマン

タイトルを正確に書くと次のようになる。「アンナチュラル」に出演している薬師丸ひろ子の歌「Woman」について。

昨夜の「うたコン」は松本隆の特集だった。そこに薬師丸ひろ子が登場して「Woman」を歌った。映画「Wの悲劇」の主題歌であり、作詞は松本隆、作曲は呉田軽穂ことユーミン

自分にとっては忘れられない映画であり、歌でもある。そして薬師丸はデビューの時からナチュラル・ウーマンであり続けた。

そんな薬師丸がドラマ「アンナチュラル」に特別出演。ミコト(石原さとみ)の養母役を演じている。出番は少ないながらも、しっかりとした存在感がある。

前回の第8話ではミコトの結婚を心配する母親を軽妙かつ、情緒的に好演していた。産みの親ではない後ろめたさから、妙にはしゃいでしまう。ミコトから名前で呼ばれて我にかえるところなど切ない。血のつながりはないけれど、本当の娘として愛している。黄昏時にひとりで歩く姿が印象的だ。

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そんなドラマのキャラクターの心情が歌に宿ってしまった。名曲とは歌い手とともに成長していく。今の薬師丸の歌からは母性が伝わってくる。娘の成長を喜びながらも、まだそばにいて欲しい、自分の家で安らいでいて欲しいという願い。松本の歌詞が違った風景を見せてくれるようだ。

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行かないで そばにいて おとなしくしてるから

せめて朝の陽が射すまで

ここにいて 眠り顏を 見ていたいの

映画「Wの悲劇」を観たのは1984年の冬。忘れられない記憶とともにある。それ以来、この歌は自分の人生に寄り添ってきた。そして今、「Lemon」と共に新たな意味が加わった。

 「Lemon」のコード進行は、ユーミンの「Hello, my friend」に影響を受けたとのこと。この歌も好きなだけに、これからじっくりと聴いてみたい。

ちなみに「ナチュラル・ウーマン」という映画は2つある。先日のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品と1994年に公開された日本映画だ。現在公開中のチリ映画は見ていないが、日本映画は当時映画館で見ている。緒川たまきが魅力的だったのをよく覚えている。なお、この映画は2010年にもリメイクされているようだ。それにしてもトランスジェンダーや同性愛者をナチュラルと称するのは如何なものか。チリ映画の原題は「ファンタスティック・ウーマン」なのだ。これでは「ワンダー・ウーマン」みたいな映画と誤解されてしまうかもしれない。

今年のアカデミー賞は、そんなウーマン・パワーが炸裂。2度目の主演女優賞となったフランシス・マクドーマンドのスピーチが凄かった。他部門で候補になった女性たちを起立させ、「映画の現場に多様性を!」と訴えた。アメリカでこれだから、日本なんて足元にも及ばない。まだまだ考えることは多そうである。