ささやかな日常の記録

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ドラマ「anone」と「相棒」の視聴率

昨夜のドラマ、視聴率は対照的だった。9時からの「相棒」は15.7%、10時からの「anone」は5.4%だった。その差は3倍近い。

「相棒」には人気子役だった加藤清史郎が成長した姿で登場。無戸籍のまま底辺で生きてきた少年Aを熱演した。

「anone」にもネットカフェで生活してきた少女役で広瀬すずが出演。逆境にも負けず、健気に生きる姿が描かれている。

ネットでは「相棒」を見て「泣けた」といった高評価がたくさん寄せられている。方や「anone」では「つまらない」という評価が多勢を占める。

これが一般的な意見だということはよく分かる。「相棒」は単純に面白いし、「anone」はグダグダしていて面白くないということ。

ところが自分の評価は全くの正反対だから困ってしまう。「相棒」について否定的な感想を書いても、「anone」について絶賛しても「バカなの」って思われるだけ。

ネットに「anone」を褒めてる奴は「お花畑」だっていう声があった。まるで自分のことを言われているようで嬉しくなってしまった。人と違うこと、マイナスであることを肯定したい。

「相棒」に感動した人は映画「誰も知らない」を見たらどう思うだろう。加藤清史郎が柳楽優弥のようになれるかどうかは、分からない。今後いかに良い脚本の作品に出会えるかにかかっていると思う。監督の是枝裕和は「海街diary」で広瀬の魅力を開花させた。そして今、「anone」で広瀬は坂元裕二の脚本と実力派の共演者と出会った。視聴率だけでは計れない財産になったことだろう。

ちなみに是枝監督は2012年10月にテレビドラマを手がけた。この「ゴーイング マイ ホーム」も当時、夢中になって見ていたが視聴率は低かった。出演者は阿部サダヲ江口のりこ蒔田彩珠が重なる。共通するのは、ゆったりとした時間の流れがあることだ。

残念ながら、今はこうしたドラマを見る余裕がないということなんだろう。アメドラのようなスピーディなドラマ展開が何よりも求められているという訳だ。そういう意味で「アンナチュラル」が評価されているのは納得できる。でも「anone」のようなドラマが切り捨てられることがないように願いたい。

そんな「anone」第8話はそれぞれの心情が揺れ動く様が、とにかく面白かった。これまでの積み重ねがあるからこそ、ちょっとした変化がドラマになる。前回では亜乃音とハリカの関係性が丁寧に描かれた。今回は短いながらも、それぞれの思いが相手に語られる。

亜乃音と玲(江口のりこ

亜乃音と花房(火野正平

青羽と持本

ハリカと彦星(清水尋也

ハリカと茉歩(藤井武美

彦星と茉歩

中世古と結季(鈴木杏

そのモヤモヤした隠された心情がたまらない。

ラウンジにスケボー持参で入ってきたハリカを見つめる女性の表情が印象的だ。なんでもない日常の中に現れた異物を嫌悪するのは珍しいことではない。そうした日常の裏にあるものこそがドラマなんだと思う。

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