ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマにおける仕事の現場

毎朝、7時15分になるとテレビの前に座る。そしてBSプレミアムにチャンネルを合わせ、何度目かの「おしん」を見る。おしんが上京して髪結いの修行をするエピソードは何度見ても楽しい。女たちの集団の中での立ち回りが実に巧みに描かれる。おんなという存在がリアルに息づいていて、見る者を圧倒する。

女性が日本髪から洋髪に移行し始めた時代の空気感がよく分かる。徒弟制度により長年の修行で技術を習得してきた時代から、自分の自由な発想で市場を開拓していく時代への変化。それをおしんの仕事ぶりを通して描いていく。その過程が実に面白いというのが凄い。

型にはまった日本髪と違い、洋髪はその人に似合った髪型を自由に創作することができる。カフェの女給への出髪を描いた今朝のエピソードも楽しかった。ここにも女たちの集団がある。仕事の現場での何気ない会話の中から立ち上がる嫉妬や、腹の探り合い。演じる方々が皆、実に個性的で魅力的だ。

その出会いとなった染子を演じた日向明子はロマンポルノ出身で何とも言えない色気がある。当時28歳で、その後も女優として活躍したが2011年3月に白血病で亡くなった。まだ56歳だった。八重子を演じた谷川みゆきは山田ドラマ「男たちの旅路」「ながらえば」「鳥帰る」に出演。茂子を演じた古館ゆきは倉本ドラマ「ライスカレー」に出演。3人ともヌードになっており、場末の色気がある。実に見事なキャスティングである。また、おしんに仕事を奪われる髪結いを演じたの此島愛子は、大河「獅子の時代」に出演したが、声優として活躍。007シリーズで女Mを演じたジュディ・デンチの声が彼女だった。

その他にも、調べてみるとその後の人生の変遷が分かり楽しい。芸達者な方が多かったから、たとえ脇役でも記憶に残る。それが、今のドラマとの違いである。今の朝ドラ「なつぞら」もアニメ・スタジオでの女の集団を描いているが、実に淡白である。それでも、それなりには面白い。彩色の現場での先輩を演じる伊原六花は可愛い。

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アニメーターを演じる貫地谷しおりはさすがの貫禄である。だが、無駄に登場人物が多いので、どうしても描き方が浅い。広瀬すずのファッションと食事シーンだけが見所になってしまっている。今朝のラストショットもケチャップを口につけた広瀬のアップだった。これはもう狙ってやっている訳で、見たいのはこういうところではない。仕事の現場での葛藤を、もっと丁寧に描いて欲しいものである。

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