正月休みはあっという間に終わってしまう。今年は5年ぶりに9連休になった人も多かったようだが、もう終わりが見えてきた。
雪国では、正月休み明けからの登校は大変で、自分も学校に行きたくないと思ったものである。そんな昔のことをつい思い出してしまうような、初めて行く学校のエピソードが楽しかった。
邦題は「わたしの母さん」だが、原題はCountry Girlsで、田舎娘といった意味だろうか。ネリーがローラたちを揶揄して言った言葉である。
ここからネリーとローラのライバル関係が始まる。学校に行くにも新しい洋服は買えないから、裾が短いままなので足が出てしまう。それを「にょっきり脚の鳥だ」と冷やかされ、じっと足を見る姿が可笑しくも切なかった。
一方、鶏の卵を巡ってキャロラインとオルソン夫人の攻防も始まってしまう。普段は冷静なキャロラインもついかっとなって、高い布を買ってしまう。ここでもオルソン夫人はキャロラインを見下して田舎者と言ってしまう。
つまりCountry Girlsとはインガルス一家の女性たちのことである。その青い布をキャロラインは初めての授業参観の日に間に合わせるために夜なべをして仕上げる。まるで童謡「かあさんの歌」の世界だ。
かあさんの歌(歌詞付) Song of the mother
久々に聴いたら胸が痛くなってしまった。田舎者にしたら、Country Girls最高である。母さんのドレス用と思っていた布は二人の洋服に変わっていた。
そんな母さんのことをローラは作文で発表する。邦題はこのあたりから付けられたのだろうが、今の感覚からすれば原題の方が良かったような気がする。
その作文に至るローラの勉強が楽しかった。今年の干支はRAT、ナイトキャップはHAT、メアリーが頬を膨らませてFAT・・・。
初登校の朝、ローラが「勉強はいつまでやったら終わるの」と質問したのに対し、キャロラインが答えたセリフが刺さる。
もうこれでいいって時はないのよ
生まれた時から天に召されるまで毎日が勉強なの
それに対してローラは「長いのね」とポツリ。その気持ちはよく分かる。古い教科書を大切にしていたキャロラインは元教師でもある。
こうした日常の描写が今回が初演出となったウィリアム・F・クラクストンは巧い。キャロラインの愚痴を聞きながらパイプを吸ったり、コーヒーを飲んだり、バイオリンを弾いたりするチャールズの姿が印象的だった。バイオリンの音色が劇伴に変わっていき、窓からズームアウトしていくシーンなど見事であった。