BS4Kでシーズン5の「幸せを待つ牧場」を見た。これを見ると、どうしてもシーズン4の「メアリーの悩み」と比べたくなってしまう。どちらも仕事で訪れた男が、そこに住む家族と触れ合うことで波紋が広がるというストーリーである。
それでも「メアリーの悩み」はベストエピソードに選ばれるほどの人気があるが、「幸せを待つ牧場」はあまり人気はないようである。個人的にも「メアリーの悩み」は大好きで何回も見たくなる魅力があるが、「幸せを待つ牧場」はそうではない。
同じようなストーリーなのに何故なんだろうと考えてみると、それはレギュラーの登場人物の総体としての魅力と言うことに尽きるだろう。なにしろ「幸せを待つ牧場」にはチャールズだけしか登場しない。
その意味において、かなり珍しいエピソードではあるが、理想的な父親であるチャールズをもってしても一人だけでは「大草原」の魅力は半減してしまうということである。自分にとっても「大草原」の一番の魅力はインガルス一家そのものにあるので、そこに家族が登場しないと面白くないのは当然かもしれない。
これまでもチャールズが仕事で家を離れるエピソードはあったが、必ず留守宅を守る家族が描かれていたから安心して見ることができた。ところが今回はチャールズ以外は登場しないので、なんだか宙ぶらりんのようで見ていて落ち着かない。
それでもドラマとしてはそれなりに面白い。チャールズが馬を買うために訪れた牧場でハーバーの家族と出会うが、その夫婦関係は長男が落馬事故で亡くなったことで冷え切っていた。これは今でも映画やドラマでよく見るシチュエーションである。あの「風と共に去りぬ」がそうだったし、やがてエドワーズが同じような状況になる。
そんな家族の中にチャールズが入り込むことで、妻と子供たちが癒されて変わっていく過程が印象的である。チャールズ自身は普段のままなのに、無意識のままに周りを変えていくところなど、まさに理想的な男性像である。
チャールズ自身も長男を亡くしているので、そこに共感が生まれる。信仰を持つことと、強く願うこと、そして努力することで変わることができるというメッセージ。
子供たちとの交流を通して、想像することの大切さも描かれる。トカゲをドラゴンだと思い、マシュマロの雲を思い眠りにつく。そんな何気ないシーンが楽しかった。
ここで娘のサマンサを演じているのが、(エドワーズの娘)アリーシャ役だったカイル・リチャーズである。
このカイル・リチャーズは1969年1月11日生まれで、ドラマと同じ頃に映画「ハロウィン」や「ザ・カー」などにも出演している。その後、「ER」の看護師ドリ・カーンズ役で出演している。今でも女優だけではなく、慈善家としても活躍しているようだ。レディガガのMVにも出演している。
このMVには姉のキム・リチャーズも出演しているようだが、まったく分からなかった。もはや、あのオルガの面影など見つけようもないが、この姉妹は子役から派手なセレブへと成長したようである。
そんな訳で少し成長したカイル・リチャーズを見ることができただけでも十分であったが、個人的には「メアリーの悩み」とセットで楽しみたい。「メアリーの悩み」で不在だったチャールズのエピソードが「幸せを待つ牧場」だったと想像すると面白い。
ちなみにマイケル・ランドンが出演している「ボナンザ」にも同じようなストーリーがあるようなので見てみたい。