ささやかな日常の記録

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「100万回」と「101回」のファンタジー

立春。珍しく朝から陽の光が部屋を照らし、それだけで気分が良くなるから不思議なものだ。週末の土曜日の朝は、ゆっくりとコーヒーを飲んだ後、録画していたドラマなどを見るのが楽しみだったりする。

1月から始まった冬のドラマも予想以上に面白くて、見るだけでも大変である。その中で唯一録画を残しているのがTBSの金曜ドラマ「100万回 言えばよかった」である。

最初こそ、井上真央がヒロインのファンタジーなんてと思っていたが、さすがに安達奈緒子の脚本だけあって、切ないストーリーに目が離せなくなってしまった。

1990年9月28日に公開された映画「ゴースト/ニューヨークの幻」を観た時と同じような感情の揺れを覚えているところである。タイトルからしてホラー映画でありながら、ラブストーリーでもあり、笑えるコメディでもあるというジャンルレスな内容にすっかり魅せられたものである。

恋人が幽霊になって現れるというプロットはそのままドラマにも踏襲されており、映画では「同じく」という言葉とレコードから流れる「アンチェインド・メロディ」に心を揺さぶられてしまったが、ドラマでは下手な口笛によって奏でられた「大きな古時計」に泣かされてしまった。

ドラマの中には佐野洋子作の絵本「100万回生きたねこ」が出てくるが、この絵本に登場するとらねこと白いねこを飼っていた。そして、ねことこの絵本が好きだった人はもういない。

そんな切ないラブストーリーに「101回目のプロポーズ」がある。映画「ゴースト」が公開された翌年の1991年7月から放送されたが、これが同じ時間帯にBSで再放送されているのも不思議な感じである。

亡くなった婚約者を忘れられないヒロインを演じているのが浅野温子で、その回想シーンにはショパンの「別れの曲」が流れる。もうベタベタなんだけど、こういうのが身に染みるのである。それに、彼女の部屋にあるのがDATというのが個人的に嬉しい。デッキが壊れて聴くことができないDATのテープを未だに捨てることができないでいる。その中には「別れの曲」「SAY YES」だけでなく、自分にとって忘れられない生の声が収録されている。


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当時の日記には、「武田鉄矢浅野温子というカップルの妙で、ユーモアとセンチメンタルのブレンドが絶妙」と書いてあった。これはそのまま「100万回 言えばよかった」では、「佐藤健井上真央というカップルの妙で、ユーモアとセンチメンタルのブレンドが絶妙」ということになる。

101回目のプロポーズ」では、いよいよ来週放送の6話であの有名な台詞が聞けるが、これはもう一種のファンタジーでもある。普通ならこのまま死んでしまうところであり、それをコメディとして描いているのが日曜の「ブラッシュアップライフ」で、これがめっぽう面白い。これも「100万回生きたねこ」みたいなストーリーでもあり、こうしたファンタジーは大好きである。

また、今夜放送の「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」も父親の幽霊に翻弄される息子の物語として最高に面白い。

この「100万回 言えばよかった」「ブラッシュアップライフ」「6秒間の軌跡」が「100万回生きたねこ」のようなラストを迎えるのかどうか、楽しみである。