暑くて何もする気になれないので、ただ音楽を聞き流している。それも大昔のカセットテープの音源だ。次第に頭がぼんやりとしてくるのは湿った暑さのせいもあるが、昔の曲には湿った夢に包まれるような効果もあるようである。
今聞いているのが高校生の時にレコードから録音したと思われるインスト集。ビリー・ジョエル「ストレンジャー」の口笛から始まって、リチャード・クレイダーマン「午後の旅立ち」、宇崎竜童「獅子の時代」、喜多郎「シルクロード」、ヴァンゲリス「アルファ」などがノンストップで流れ続けている。
当時、ラジオやテレビから聞こえてきたメロディで、そこそこ知られている曲ばかりであるが、中にはほとんど知られていないマイナーな曲も含まれている。そんな曲の一つがピンク・フロイドのリチャード・ライトが作曲したMediterranean Cという曲である。
キング・クリムゾンでもプレイしたメル・コリンズのサックスが印象的で、まさに幻想的な船旅に誘ってくれるような感じで大好きな曲である。
この曲はライトが1978年に発売した初のソロ・アルバム「ウェット・ドリーム」の冒頭に収録されている。レコードで初めて聴いた時の夢見心地になった感触みたいなものは今でも忘れられない。
このレコードを買ったのは1980年のクリスマスだった。映画「サイボーグ009・超銀河伝説」を友人と観に行った時に購入している。一通りフロイドのアルバムを揃えた後で、メンバーのソロとしては2枚目のアルバムだった。
当時は(ロック・ファンにも)ほとんど話題にもならなかったようであるが、ヒプノシスのジャケット・アートも含めて個人的には最高のアルバムだと思った。それは今でも変わっていない。
そんなアルバムが来月、装いも新たに(5.1chで)再発されるとのことで、今から楽しみでならない。