ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「やがて来る日のために」

朝から冷たい雨。雪でないのは嬉しいが、被災地で土砂災害が発生しないことを願う。

昔、録画していた山田太一脚本のドラマ「やがて来る日のために」を見た。2005年5月にフジテレビで放送されているが、2017年にスカパーで再放送された時にも見直している。

なぜ、今また見直したのかといえば、2003年にTBSで放送された「ドラマの巨人 脚本家 山田太一の世界」という番組を見たら、DVDに一緒に録画されていたからである。こうした優れた番組があるのに、なぜTBSは追悼として再放送しないのだろうかと思った。

それはさておき、「やがて来る日のために」であるが死をどのように迎えるのが幸せなのかっていう重いテーマを描いている。それだけに何度も見たいドラマではなかったが、見始めたら止まらなくなってしまった。

ベテラン訪問看護師を演じているのが市原悦子で、そこに病院の看護師を辞めた星野真里演じる新人が配属されてバディを組むことになる。

当時はこの訪問看護師という存在にリアリティを感じなかったが、実際に昨年の10月からお世話になることになり見方が全く変わってしまった。訪問看護師が自宅に来るということは、つまり病院ではなく自宅で看取りをするということを意味する。日々の健康状態を把握し、それを医師に報告して「やがて来る日」に備えるということである。

実際にその仕事ぶりを目にすると患者だけではなく家族へのケアにも抜かりがなく、大変な中でもちょっとした安心感を覚えることができたものである。来宅してくれた方もベテランで、時には若い実習生が一緒のこともあり、その仕事ぶりを見るのも色々と勉強になったものである。

ドラマの中でも実際に経験したことが色々と描かれており、地道な取材があってのドラマなんだと改めて痛感することができた。その中でもリアルだと思ったのが、神山繁中原ひとみが演じた夫婦。夫を介護する妻の気持ちもそうだが、息が止まってしまって驚くようなことは何度もあった。このドラマでは嘘をつくことも場合によっては肯定しているが、それによって夫が困ってしまうというのも可笑しかった。

それとは逆に嘘によって周りが悲しむこともある。上野樹里が演じた18歳の少女は治る見込みがないということで自宅に戻ってきたが、本人はそれを知らない。そこで少女は思い出の場所である横浜に行きたいと言い出す。

最初は無理だと思われたが、周りの協力で実現することができた。普通のドラマであったら恋愛にもっていって泣かせようとするだろうが、流石に山田ドラマには節度がある。学校とコンビニと駅のホームという何気ない風景の中に上野を立たせることによって、ささやかな日常の尊さを際立たせていて感動的だった。

コンビニの棚にCRUNKYがある

この後で少女は亡くなってしまう訳だが、ドラマではエンジェル・ケアのシーンも少しだけ描かれる。これも訪問看護師の大切な仕事である。ちなみに映画「おくりびと」は2008年公開だった。

キャストとしては市原悦子と井川比佐志の夫婦役、柄本明堺雅人の医師役が面白く、その夫婦に訳ありの星野真里が加わり、疑似家族みたいになるところがいかにも山田ドラマって感じだった。その他に森下愛子吉田日出子が出演し、演出は堀川とんこう。音楽は「ドラえもん」でおなじみの沢田完だった。

最近では訪問看護だけではなく訪問介護の人材も不足しているとのニュースを見たが、(今回の地震孤独死などは別にして)このままでは自宅で死ぬことが難しくなっていくのは間違いない。やがて来る日のために何ができるか、改めて考えたいものである。

この正月にはお節とCRUNKYを食べたが、避難所生活のことを思うと心が痛む。早く十分な食料と灯油が支給されるように願うばかりである。

ちなみにAIによるタイトルに「被災地で土砂災害を願う朝」って出てきて驚いた。まだまだ不十分ということもあるが、こんな風に間違って書いてしまったり誤読されてしまう可能性もあるというのは怖いと思った。