水曜日から断続的に降り続いた雪もようやく止んだ。屋根の上には1m弱の積雪があり、これ以上積もったら危ないレベルに達していた。明日から暖かくなるという予報を信じて放置していたが何とか持ちこたえてくれたようである。
そんな雪だけでなく気温も5℃未満の日が続き、とにかく寒かった。そんな寒さが体に良い訳がなく、精神的なダメージも大きかった。
そんな不安が募っていた昨日、デヴィッド・リンチの訃報を知った。何かを書きたいと思ったが、何も書くことができなかった。今もまだ頭はぼんやりとしたままだが、リンチ作品のサントラを聴きながら思いついたことを書いてみることにした。
久々に「ワイルド・アット・ハート」のサントラを聴いたが、やっぱり最高だった。日本公開は1991年1月で、もちろん映画館で観て打ちのめされた。大好きな「オズの魔法使」からのオマージュにクリス・アイザックの歌声。「ウィキッド・ゲーム」は今でも大好きで、先日にはCSでクリスのライヴも見ることができた。
リンチの長編映画は2007年日本公開の「インランド・エンパイア」以外はすべて映画館で観ている。当ブログにも断片的に書き続けてきたが、やはり感想を書くのは難しい。
先日WOWOWで映画「関心領域」を観たが、その映像と音響から「イレイザーヘッド」や「ブルーベルベット」などの映画を思い出していたところだった。その「イレイザーヘッド」を観たのは1994年1月14日のことだった。当時の日記には次のように記載している。
金曜日の夜は飲みの誘いを断って9時からのレイトショーに駆けつけた。とても酒を飲む気分ではなく、ダークなリンチの世界にどっぷりと浸りたかった。ビデオではすでに見ていた「イレイザー・ヘッド」ではあるが、「ツイン・ピークス」を観た後では、改めてここに全てが集約されていたことが分かり新鮮な驚きがあった。サウンドと映像のシャープさは言うに及ばず、悪夢と現実との境界の描写は圧倒的で、静寂のラストまで一気に観ることができた。
かつて金曜の夜に渋谷でリンチの映画を観るという至福の時があったのである。その後、実家に戻ってからWOWOWで完全版を見直している。2017年9月2日の日記には次のように書いている。
「イレイザーヘッド 完全版」はもうリンチワールド全開。冒頭の宇宙に漂うイメージは「ツインピークス」の新作にも描かれた。その映画版「ローラ・パーマー最期の7日間」も見直してみたが、やはり面白かった。何回見ても、イメージは強烈ながら、記憶としては残らない。
この「ツインピークス」の新作とはTwin Peaks The Return のことである。このドラマには印象的な鉄塔が多く登場した。そんな電気を巡るドラマにシンクロしたかのように、それから鉄塔に魅せられるようになったのだから我ながら呆れてしまう。
そんなリンチを最後に見たのが2023年に日本で公開されたスピルバーグの「フェイブルマンズ」だった。リンチはジョン・フォードに扮していたが、個人的にはスピルバーグとリンチのコラボに興奮したものである。