ささやかな日常の記録

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記憶を巡る日本映画

昨年公開されたばかりの記憶を巡る日本映画2本をWOWOWで見た。まずは「秘密-the top secret」だが、これは長いだけで、焦点がぼやけてしまった凡作だった。

死者の記憶から犯人を捜すという近未来の警察を舞台に、サイコパスの犯人を追い詰めていくストーリーなのに、まるでドキドキしないのはなぜだろう。

脚本は高橋泉。映画では「凶悪」があったし、テレビドラマでは「プリンセス・メゾン」を手掛けている。おそらく単独だったらもっとスッキリしていたと思うが、共同脚本で収拾がつかなくなってしまったのではないだろうか。

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それに対して今日見たばかりの「スキャナー」は最後の最後まで先が読めないストーリーで実に面白かった。脚本は古沢良太だけに、伏線の回収が見事である。

最初こそ、なぜにお笑いコンビにこだわるのか分からずに、モヤモヤするが最後の最後で明かされる事実が何とも切ない。残留思念という人の強い思いを使ってのラブストーリーにもなっているのもポイントで、その能力者だけではなく、犯人側から描かれる真相もあまりに悲しい。

しかし、本作も残念ながら傑作とまでは言い切れないのがもどかしい。いかにも古沢らしい変化球が強すぎて、感動が薄れてしまっているのだ。このストーリーなら、もっと直球でも良かったような気がする。

それでも題材としては「遺留捜査」のようにテレビシリーズとして展開させても面白いと思った。むしろ、最初からテレビとして製作したほうが良かったのではないだろうか。それくらい、古沢のテレビドラマの新作が見たい。

 監督は大友啓史に、金子修介だが、同じサイコパスを扱った映画で先日見た「クリーピー」の監督である黒沢清には遠く及ばなかった。いかに黒沢の映像が凄いか、比較することで見えてくることもあるようだ。