ささやかな日常の記録

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ドラマ「バカボンのパパよりバカなパパ」と宇多田ヒカル

土曜の夜にNHKで放送された番組を、今日7月1日に録画で見た。関東地方は梅雨明けしたが、こちらはまだでも真夏日の暑さだった。それでも、そんな暑さが気にならないくらい熱い番組だった。

まずドラマ「バカボンのパパよりバカなパパ」を見た。初回は拡大で73分あったが、あっという間の面白さだった。原作は漫画家・赤塚不二夫の娘・りえ子によるもので、1973年以降を描いている。

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つまり、有名なトキワ荘時代のストーリーではないということ。それでもオープニングは漫画の制作現場から始まる。CGを駆使したバカボンのパパ玉山鉄二が演じる赤塚とのやりとりが最高だ。とにかくアシスタントも含めて創作の現場が熱い。

演じる役者も豪華だ。駿河太郎、マギー、駒木根隆介らがアシで、浅香航大が編集者。これはもうリアルな現場だから、見ていて本当に楽しい。今の朝ドラにおける現場とは大違い。ギャグ漫画と少女漫画という大きな違いはあるものの、その熱量は比較にならなかった。

それと同時に常識にとらわれない赤塚の破天荒な姿も描かれる。もちろんNHKのドラマだから、描写には節度があって物足りない部分は多々ある。それは想像で補えばいい。家庭におけるゴタゴタも、ドラマでは決して修羅場にはならない。それでも、そんな家庭で育った娘の心境は想像に難くない。

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その少女時代を演じたのが住田萌乃。BSで再放送中の朝ドラ「マッサン」でも玉山演じるマッサンの養女エマを演じている。今でも強烈な印象が残っているのが「奇跡の人」で演じた盲ろう者の海役である。これはもう圧巻の演技だった。

そんな彼女にがっつりと立ち向かったのが峯田和伸だった。イメージ的には赤塚役には玉山よりもぴったりな気がしないでもない。パンクも常識にはとらわれない歌だ。その峯田が今月から始まるドラマ「高嶺の花」で、どう石原さとみに立ち向かうのか楽しみだ。

そしてドラマでは10年後、住田が成長して森川葵になった。これがまったく違和感なく、時の流れと成長を感じさせて見事。10年たっても、まるで成長が感じられないドラマとは大違いだ。森川と言えば高橋一生と共演したドラマ「プリンセスメゾン」が忘れられない。ここでも有名漫画家の娘で、屈折した心情を魅力的に演じている。父親の本当の心情を、初めて見る漫画原稿から察するシーンは印象的だ。心のこもった原稿は、それがギャグマンガでも胸を打つ。

赤塚の最初の妻を演じるのが長谷川京子。最近ではドラマ「シグナル」での犯人役も悪くなかったが、こうした妻役も似合ってきた。中井貴一を惑わす「続・最後から二番目の恋」での人妻役が印象的だった。

そして二番目の妻を演じるのが、先日記事にした比嘉愛未。やはり、この人はこうした役がぴったりだ。いかにもバカボンのママのイメージで実に良い。初回ではその優しさが印象的だっただけに、今後の展開が気になる。

音楽は朝ドラ「あまちゃん」の大友良英で、こうした題材にはぴったりだ。来年の大河ドラマ「いだてん」も楽しみだ。脚本の小松江里子も朝ドラ「どんと晴れ」を担当。その主題歌を歌ったのが小田和正だった。

 

その小田がゲストで登場したのが宇多田ヒカルが出演したSONGSだ。宇多田が出演するのは2年ぶり。前回は朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌を歌っていた頃だ。今回はアルバム「初恋」の発売に合わせてのことだろう。「初恋」はドラマ「花のち晴れ」のイメージソングだったが、ドラマは見ていない。それでもFirst Loveを経て、たどり着いた「初恋」の歌詞は興味深い。番組で語られたことには、いちいち納得することばかりだった。母親の藤圭子も常識にとらわれない方だったらしく、赤塚のドラマと重なった。


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これまで、どちらかといえば宇多田のサウンドに魅せられていたような気がする。椎名林檎とコラボした「二時間だけのバカンス」が最近ではお気に入りだった。それでも、これまであまり歌詞に気を配ることがなかった。今回、番組でテーマにしていた言葉に注目すると、また違った魅力があるようである。彼女も35歳になって、色々な経験をしたことにより、その歌詞にも深みが出てきたようだ。改めて、じっくりと彼女の歌を聴き直したいと思った。

そんなことを思っていたら、幸運なことに今日はスカパーの無料放送日だった。宇多田のMVも多く流れていた。その中に、カラオケランキングという歌詞つきでMVを流す番組があった。お馴染みのMVも歌詞を読みながら見ると、より楽しめることに気が付いた。たかがMVなれども、じっくりと見てみると色々と発見がありそうである。