ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「透明なゆりかご」と「dele」に落胆した夜

台風去って、また地震に、言葉を失なったままだ。次々と場所を変えて、新しい被災地が生まれていく。いつ、どこで当事者になるか分からない。

今回の想定外は停電。自分も7年前の3月には計画停電で悩まされた。電気のない生活は考えられない。

NHKスクランブル放送をしない理由に掲げている災害報道も、停電している現地には届かない。必要な情報が、必要としている人に届かないのでは意味がない。

そして必要としていない人にも、強制的に同じ情報を送り続ける。北海道から遠く離れた当地でも、青枠は残ったままだ。台風の被災地でも、同じ情報が流されているのだろうか。

金曜の夜、楽しみにしているのが、ドラマ「透明なゆりかご」だ。このドラマの放送中も、ずっと青枠で情報が流れ続けていた。これで2度目であるが、やはり集中して見ることができない。ドラマの間くらい止めることはできないものかと思う。

今回は働く女性の出産への不安が描かれた。仕事に熱心な女性ほど、出産にも完璧を求めてしまう。そして職場にも夫にも甘えられない。そうした悩みは現実的な問題として共有してきた。それでも完全に分かり合えることはない。それだけに家庭でも会社でも、より良い環境を整えることは必要だ。残念ながらドラマとしては少々物足りなかった。紗也子(水川あさみ)の妊娠が分かり、その夫(柄本時生)との確執や、キャリアウーマンの妊婦(滝沢沙織)を巡る騒動など、これまでの繊細な描写に比べるとドタバタ感が強くて、あまり共感できなかった。アオイの空想も最後のワンショットのみ。それでも男性が女性の気持ちを理解しようとすることを変態としたのには笑った。院長(瀬戸康史)と夫、アプローチは違っても変態的なのは間違いない。このドラマが好きな男性もそうかもしれない。

変態的といえば、その後のドラマ「dele」も相当なものだ。あの「ツイン・ピークス」がそうだったように、このドラマの登場人物は皆、どこか変態だ。あの毒物カレー事件を彷彿させる近隣住民との人間関係はリアルすぎて恐ろしい。あまりにも救いがなさすぎて、見返す気にはなれない。そんな中で、市議の父親を疑い、自らはヤク中の娘が山田孝之にキスをしてビンタをする姿に痺れた。演じた仁村紗和は、「BORDER 衝動~検視官・比嘉ミカ~」で波瑠の同僚役だった。このポスターも印象的で、コピーで「透明なゆりかご」とつながった。

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個人的には昨夜の「透明なゆりかご」と「dele」はハズレ回だった。ストーリーよりも、抒情的な映像美が見られなかったのが残念だった。そんな落胆する夜があっていい。停電している家ではテレビさえ見られない。早く、普通の日常が送れるように願うばかりである。