父親が不在の中、優等生の長女の失敗とその葛藤を描いた物語。こんな風に書くといかにも現代的なホームドラマのように思えるのが面白い。
今回の主役はメアリー。一等になると辞書が贈られるテストに挑戦するために寝るのも惜しんで勉強をする。
しかし、家では家族の迷惑になるのでランプを納屋に持ち込んで勉強をしていたら、誤ってランプを倒してしまう。
幸いにも全焼は免れたものの先生から借りた本を焦がしてしまう。母親は当然、激怒。感情的にメアリーを叱るキャロラインの姿が珍しくも印象的だ。
そして罰として試験は受けてはいけないと言う。その親心は痛いほど分かる。それでも言いすぎたと思って牧師に相談するあたりは、さすがである。
本来であれば夫のチャールズに相談するところだが、彼は仕事で居ないのである。そんな娘を思う母親像が素敵である。
そして当のメアリーは試験を受けないことを先生に言えず、燃やした本を弁償するためにオルソンの店で働く。その合間をぬって店の本で勉強を続けるところが、いかにもメアリーらしい。
結局、試験当日になっても言い出せず試験を受ける。安易なドラマだったら、ここで一等賞になってハッピーエンドになるところだが、ここでメアリーが取った行動が素晴らしい。
原題は「AWARD」で訳すと「与える」とか「許す」と言った意味になる。これは母が娘に与えた罰であり、それを許すことでもある。
一方で「賞」という意味もあり、これは一等賞は取れなかったけれど、かけがえのない教訓を得たということでもある。まさに失敗から何を学ぶかということが重要なのである。
それにしても当時の貨幣価値ってどのくらいなのだろう。メアリーが放課後に3週間働いて1ドル50セント。そこから1ドルを出して買った歴史書がとても豪華に見えた。
残りの50セントを母に渡し、それを3週分の賃金と思い込んだ母がオルソンに文句を言おうとする姿が可笑しかった。
とにかくメアリーが一生懸命に奮闘する姿が愛おしく、魅力的だった。そんな彼女を自然の中で捉えるショットが美しく、ラストでの母と娘のシーンも最高だった。