ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

大草原の小さな家「ジョンおじさんの悲しみ」

父と息子の物語と言うと、これまで数多くの映画やドラマが作られてきた。この「ジョンおじさんの悲しみ」も、そんな一本である。

アルコール中毒の父親(ジョン)に虐待を受けて育ちながらも、そんな父親を見捨てない息子(グレアム)。町の人々はだんだんとエスカレートしていく暴力を見かねて、二人を引き離そうとする。チャールズは子供のこととなるとつい我を忘れてしまう。

そんなクズな父親を演じたハリス・ユーリンは映画「スカーフェイス」などにも出演しているが、ドラマ「24」(シーズン2)なども印象的だった。

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そしてチャールズは息子だけでも保護しようとするが、キャロラインは父親も救って欲しいと願う。そこでチャールズはジョンと生活を共にして酒断ちをさせようと奮闘する。そこでジョンが禁断症状で見る幻覚はコウモリ。前回のネズミもそうだが、子供にはトラウマにもなりそうなハードな描写である。今回の演出はまたもエドワーズことビクター・フレンチが担当しており、大人のドラマになっている。

それにしても、これは現在でもありふれたストーリーである。ニュースで児童虐待や薬物中毒などの話題が無くなることはない。それだけに、いつの時代でも普遍的なテーマだとも言える。今では児童保護施設や依存症の治療施設などで救われることも多いが、そんな施設の無かった頃は大変だったことは容易に想像できる。

そんな大変な仕事をドラマではチャールズとキャロラインが分担して行っていく。キャロラインの優しさが頑ななグレアムの心をほぐし、父親のトラウマを探り当てる。酒に溺れた原因は息子を産んだ後に母親が亡くなったためである。それが彼の悲しみとなり、その責めを無意識のうちに息子に向けていたということである。それを、さりげなく分からせることにより、立ち直らせていく。指導ではなく、自ら納得させていくというカウンセリングの過程が実に分かりやすく描写されていく。

現実ではそう簡単に解決できる問題ではないことは良く分かる。それでも基本は「思いやる心」と「信じる心」が大切なんだと思わせてくれる。メアリーがグレアムに鶏をプレゼントするシーンが印象的だ。オスとメスの違いをどう説明するのか、こちらも妙にドキドキしてしまった。

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原題はChild of Pain、直訳すれば痛みの子供で虐待を受けている子供という意味だろうか。また精神的な意味で(父親に)苦悩する子供といった風にもとれる。いずれにしても過酷な状況に違いはなく、邦題との違いが興味深い。今や父親に同情的な邦題にはちょっと違和感がある。それでも最後、仲良く鶏を持って帰る姿に希望を見出すことができた。

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見送るインガルス一家の姿は、ドラマの最後の写真として使われてきており、さすがに印象的だった。

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最後に父親と息子の物語で記憶に残っている作品を挙げておこう。 

鉄道員 【ブルーレイ版】 [Blu-ray]

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チャンプ(1979)(字幕版)

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この3本は高校時代に観て、今でもテーマ曲と共に忘れられない。「鉄道員」はテレビだが、残りの2本は映画館で観た。ちなみに邦画の「鉄道員」は父と娘の物語でもある。そんな父と娘の映画やドラマも印象的な作品は多い。「大草原の小さな家」ではあの「オルガの靴」がそうだった。

hze01112.hatenablog.com

高校時代というと1981年10月17日(土)の日記に、6時から「大草原の小さな家・ローラの結婚」を見たとの記述がある。当時はシーズンという認識はなかったが調べてみるとシーズン7の初回だったようだ。その後、8時からは山田太一脚本の「タクシー・サンバ」の初回を見ている。ビデオが無かった時代で、そこそこ忙しかったはずなのに、よく見ていたものである。