ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

大草原の小さな家「父さんの友情」

シーズン1の最終回は「父さんの友情」という邦題だが、原題はFounder's Dayで町の創立記念日のこと。そんな原題に相応しい、実に楽しい最終回だった。

日本で言えば村の祭りか、町内会の運動会みたいなものだろうか。町中の人々が集まって楽しむ日のことである。今では失われつつある行事ではあるが、娯楽の少なかった昔には必要不可欠だったことは、よく分かる。

ドラマでも、その日を楽しみにしている感じが、インガルス一家の会話から伝わってくる。それぞれが出場する競技があり、それに向けて頑張っている。特にオルソン一家には負けられないのだ。

キャロラインはパイ、メアリーは縄跳び、ローラは輪回し、チャールズは綱引きに出場するも敗退。メアリーがケガをしたことで代理にキャロラインと出たローラが二人三脚で勝利。そして最後にチャールズが丸太割りに挑戦する。

そこに登場するライバルが製材所で同僚になったばかりの男。かつてはきこりの親方として腕を振るっていたが年には勝てない。それでも腕は確かだし、口も達者でチャールズを「若造」と見下す。それでチャールズも絶対に負けられないと意地になってしまう。そこに彼の妻が訪れて、夫の自信を取り戻させて欲しいと懇願する。

これは現代の高齢化社会の問題でもある。定年過ぎのベテランと、30代の働き盛りが勝負するようなものだ。技術はあっても体力では負けてしまう。それでも若い奴には負けられないという意地がある。今では、どこでも見られる光景である。

建前では「勝つことがすべてではない」と言ってはいるが、本音では「どうしても勝ちたい」と思っている。そんな複雑な思いが、多くのゲームを通して楽しく昇華されていく。悔しい思いを抱きながらも、勝ち負けにはこだわらず、勝負そのものを楽しむことが大切なんだと思えてくる。

クライマックスにチャールズが取った行動を邦題のように「友情」とするのは微妙なところ。友情と言うよりも男としての「矜持」みたいなものかもしれない。年齢をハンデとして、あくまでも真剣勝負をしたうえで、潔く勝ち負けを認め合う。そんな姿が印象的だった。

そんな訳で、最後には老夫婦の姿を通して、老いてなお働くことの素晴らしさまで描いており、子供だけではなくシニア層にも楽しめるドラマになっているのが凄いと改めて思った。そんな親方を演じたフォレスト・タッカーは多くの映画やドラマに出演しており、いぶし銀のような存在感は流石だった。

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町の人々が集まってゲームに興じる姿は、まさに祝祭空間である。シーズン1を一つのドラマとして見た場合、まさにクライマックスに相応しい喜びに溢れた描写の数々。あの「スター・ウォーズ」旧3部作のラストを思い出した。今は「ジェダイの帰還」になっているが、公開当時は「ジェダイの復讐」というタイトルで、ラストの祝祭の音楽も忘れられない。今は差し替えられてしまったのが残念である。


スターウオーズⅥ オリジナルエンディング

祝祭という意味では、今回はデヴィッド・ローズの音楽よりも、町の楽団(?)の演奏シーンが楽しかった。日本だったらチンドン屋だろうが、こうしたマーチの響きは気分が高揚するものだ。

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そして、垂れ幕にも書かれていたウォルナットグローブの意味をようやく調べてみた。ファンの方には常識かもしれないが、WALNUT GROVEって「クルミの小さな森」といった意味のようだ。ナッツ好きには、ちょっと嬉しい発見だった。

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日本での初放送は1976年12月24日だったとのこと。まさに祝祭にぴったり。そして続きは1977年10月から始まったらしい。ところがシーズン2の初回は、この最終回の前の週に放送していたというのは本当だろうか。そうなると、そのつながり方も含めて見てみたくなってしまう。

残念ながら、BSプレミアムでの放送はこれで終わり。来週からは韓国ドラマが始まる。週末の楽しみが一つ減ってしまった。