BS4Kでドラマ「令和元年版 怪談牡丹燈籠」を見た。10月にBSプレミアムで全4話で放送されたが、これを前後編で合計4時間にまとめたものである。
これが意外にも実に面白かった。BSPでの放送時には興味がなくて見ていなかったが、たまたま4Kで「因の章」を見始めたら止まらなくなってしまった。「牡丹燈籠」という怪談は知っていたが、実際に見るのは初めてだった。これは怪談と言うよりも欲がうごめくピカレスクロマンといった趣きがあり、仇討ちの時代劇としても十分に楽しめた。もちろん、怪談としての描写にも抜かりはなかった。
カランコロンという下駄の音の響きと燈籠のぼんやりとした灯りが雰囲気を盛り上げる。普通のテレビだと闇に埋もれてしまう背景もくっきりと見えるのが4Kの威力である。
闇の中での営みが、ロウソクの灯りだけでもはっきりと見える。だ液が糸を引く描写はやりすぎとも思えたが、その狂おしいほどの激しい思いは伝わってくる。そんな恋い焦がれて死んでしまった女を上白石萌音が熱演。
ワイヤーアクションもあったが、ちょっと物足りない。これを見ていたら映画「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を思い出してしまった。
そんな恐ろしくも切ない物語の背後では、普通の人間の欲望が静かに燃え上がっていく。犬山イヌコと段田安則が演じた人のよさそうな夫婦があんなことになるなんて思いもしなかった。