風薫る5月は初恋のイメージがする季節。「大草原の小さな家」もシーズン3になると恋の季節を迎える。「風の中の初恋」はメアリーの切ない恋を描いたストーリー。
海外ドラマは日本のドラマと違って、あまり季節感を感じることができない。このドラマでもクリスマスの冬は分かるものの、春夏秋の違いはよく分からない。前回の「雪あらし」は12月とはっきり分かるが、今回はやはりイメージとしては5月くらいがしっくりくる。大学が始まるのが9月だから、その前であるのは間違いない。メアリーが木の上で読書をしているので、過ごしやすい季節だというのは分かる。
今、コロナの影響で9月入学が議論されているが、日本の四季の中で入学式は桜とあまりにも密接に結びついている。正直、まだ暑い中での入学式はピンとこない。
ある日、ジョンの詩を評価した手紙が届く。メアリーも大喜びで、改めて結婚の約束を交わす二人が初々しい。
ところが詩はすぐには出版されず、その代わりに大学の奨学金が出ることになり、大喜びするジョンに対してメアリーは浮かない顔。離れ離れになることで、ジョンが変わってしまうと心配しているのだ。
そんなメアリーの心情を考えて悩むジョンに対して、グレイスは「風のように飛び立っていく」ようにと励ます。それに対してエドワーズは土地に根ざすことを最優先に考え、ジョンに新たな土地をプレゼントする。その土地を見て、二人も大喜び。
しかし、メアリーは素直には喜べない。このまま結婚して、ジョンの才能を奪ってよいのか悩む。メアリーはジョンのことを「言葉で音楽を奏でる人」と言うように、その才能も認めているのである。そんなメアリーの迷いは普遍的なものである。結婚することは何かを諦めることでもあるが、新たな喜びも得られるとキャロラインは励ます。
そんな逡巡の果てに、メアリーは決断する。その表情がなんとも魅力的だった。
そして、駅での別れ。
歌詞がメアリーとジョンの将来を暗示しているようだ。シーズン4でメアリーはスーツを着たジョンと再会することになる。
ジョンが認められた詩のタイトルは「大草原の唄」。
思い浮かぶのはバーバラ・ストライサンドの「エバーグリーン」
ビージーズの「若葉のころ」
そして「草原の輝き」
アグネス・チャン「草原の輝き」 3rdシングル 1973年7月
これはナタリー・ウッドが出演した映画も忘れられない。
映画にはウィリアム・ワーズワースの詩が出てくる 。
かつてあれほど明るかった輝きも
今は私の眼前から消えた
草原の輝きは戻らず花は命を失ったが
嘆くことはない
残されたものに力を見出すのだ
恋人の裏切りを知り、精神を病んでしまうが、やがて立ち直っていく未来を暗示するような内容になっている。
この映画を初めて観たのが1982年2月24日。東京駅の近くにあった八重洲スター座という名画座で、同時上映が「欲望という名の電車」だった。大学入学前に観て、衝撃を受けたことは鮮明に覚えている。当時の感想があったので載せておく。
つい先だって不幸な水死をしてしまったナタリー・ウッドの美しさに酔ったとともに、改めて彼女の死が残念でならない。この作品は彼女の演技の見事さでひときわ輝いている。純な女学生が恋人の裏切りを知って精神病になり、やがて立ち直っていく姿を演じきっていた。愛と性という青春の大きな問題がテーマだけに、身近な問題として考えることができた。
題名でもある「草原の輝き」という言葉が出てくるワーズワースの詩も胸に染み込んだ。その「草原の輝き」が意味していることは、若い頃の理想主義的な考えのことである。愛を清いものとした理想が崩れても嘆くことはない。それによって心の奥の力を見つけることになるといった内容である。
この男女の愛が性という、ささいなことで壊れてしまい、それをステップに大きく成長していく姿は目に焼き付いてしまった。
この映画を久々に見直して、改めてナタリー・ウッドに魅せられてしまった。人気子役からスタートし、「理由なき反抗」「捜索者」「ウエスト・サイド物語」「メテオ」などに出演。遺作となった「ブレインストーム」に出演中の1981年11月29日に水死した。この「メテオ」と「ブレインストーム」はリアルタイムで観ているので、もう一度見たいと思っているが、機会がないままである。
そして映画の舞台は「オズの魔法使」と同じカンザスで、ラストは牧場が舞台となる。時代は1928年ということで、株価暴落が影響を与えることになる。当時も父親の姿が印象的だったが、今や父親の視点で見てしまい色々と考えさせられてしまった。
今日の7時のニュースではコロナショックで過去100年で最悪の事態も予想されると報じていた。まさに1929年の世界大恐慌以来のことになる。検察庁法改正は見送られたが、それでも支持率が37%もあることが不思議である。