ささやかな日常の記録

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ドラマ「燕は戻ってこない」第1話

火曜日のドラマ10「燕は戻ってこない」が面白いが、なかなか感想が書けないまま3話まで放送された。たまたま昨夜、その3話までが集中放送されたので改めて見直したところである。やはり、圧倒させられてしまって言葉が出てこないけど、思ったことを書いてみたい。

桐野夏生による小説は2年前に発売されたばかりのようだが、生殖医療をテーマに女性の生き方を描いているとのことで、いかにも桐野文学らしい。東電OL殺人事件をテーマにした「グロテスク」を週刊文春連載中に読んでいたのが懐かしい。

ドラマの初回冒頭で石橋静河が演じるリキが茹で卵を作っている。それも硬茹でということで、そのメタファーがもう生々しい。

リキの年齢は29歳で卵子提供のリミットであり、一方の内田有紀演じる悠子は44歳で不育症と卵子の老化により妊娠が困難になっている。不妊に悩む女性の姿はドラマ「透明なゆりかご」でも描かれて印象に残っているが、ここでは困窮生活を続けているリキの姿に共感してしまう。

リキが住んでいるアパートを見ていると自分の20代の生活が生々しくよみがえってくるようだった。実際に駐輪場でのトラブルも経験している。自転車の止め方が気に入らないと怒鳴り込まれたことがある。まるでヤクザもどきの姿がドラマの酒向芳に重なってしまった。

そこからドラマでは自転車でのチェイスが描かれるのだが、自転車といえばやはり「透明なゆりかご」の2話で描かれた蒔田彩珠と清原果耶のシーンが思い出されてしまう。このドラマでは紅い花束を避けようとして転んでしまう(赤いジャンパーを着た)リキの所へ車に乗っていた悠子が駆けつけることで二人が交錯するシーンが描かれて実に印象的だった。「紅い花」といえばつげ義春の漫画を思い出すが、これも血のメタファーなのだろうか。

そして最後にリキは今の生活から逃げ出すために卵子提供を決意してクリニックを訪れる。その内装の感じや朴璐美演じるスタッフのピンクが強烈である。

最初、リキに卵子提供を持ちかける伊藤万理華演じるテルの軽薄な感じも良い。こちらは土曜ドラマ「パーセント」のヒロインも演じており、そのキャラクターの違いが面白い。このドラマについても書きたいと思ってはいるが、その気力が残っているだろうか。とにかく、どちらも面白いけれども見た後はぐったりと疲れてしまう。

とりあえず、初回については書くことができたので満足である。2話では富田靖子演じる叔母さんが印象的であるが、書けるだろうか。