大人の階段を上るメアリーの物語。詩が認められて奨学金で大学に行けることになったのに、メアリーとの結婚を考えて悩むジョン。今でもありふれた恋愛の情景ではあるが、なぜか気恥ずかしさと共に、心が揺さぶられてしまう。
メアリーがまだ13歳というのも驚きだが、チャールズが15歳になったら結婚しても良いと認めてしまうのにも驚いてしまう。この辺のことは、今の感覚では分からないことだろう。それでも、メアリーが自分のことよりも、ジョンのことを第一に考えて決断を下す姿は凛々しい。
「思い出」から流れ続けたメロディは、ここにきてラブ・サウンドとしてジョンの心情に寄り添っていく。駅でのシーンはまるで映画「シェルブールの雨傘」のように切なかった。
原題はI'll Ride The Wind、「風に乗る」という意味で洒落ているが、これを「風の中の初恋」とした邦題も素晴らしい。個人的に大好きな手塚治虫の「ルンは風の中」を思い出してしまった。